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042417アクティブ債券運用の5つの重要な利点 404 Error Page

 

マーケット インサイツ

低手数料戦略を重視する投資家に対して、アクティブ運用マネージャーが債券ポートフォリオにいかに価値を付加しているかについて、改めて注目することを推奨します。
 

要旨

  • 株式投資におけるパッシブ戦略の活用への注目が集まるなか、投資家は、債券市場におけるパッシブ戦略がこれまでどのような経緯をたどってきたかについて疑問を感じているかもしれません。
  • モーニングスターの記事によると、アクティブ型運用債券ファンドの3分の2近くが債券上場投資信託を最適配分した対応ポートフォリオを上回る成果を上げているということが、最近の調査で明らかになっています。
  • アクティブ運用マネージャーが用いる債券市場についての分析と戦略は、アウトパフォームに寄与する5つの重要な利点を示唆しています。
  1. 債券市場には、アクティブ運用マネージャーが投資機会を活用する好機をつかみやすい独特の性質があります。
  2. アクティブ運用マネージャーは、問題債券への過剰エクスポージャーを回避してリスクをコントロールできる可能性があります。
  3. アクティブ運用マネージャーはまた、経営陣の資質や財務状況に問題がある企業をうまく避けられる立場にいます。
  4. アクティブ型の手法には、重視するセクターを交代させていく柔軟性があり、ポートフォリオ配分を最適化することが可能です。
  5. アクティブ運用型はまた、パッシブ型よりも顧客の目的やリスク許容度に合ったポートフォリオの提供が可能です。
  • 鍵となる論旨  アクティブ運用マネージャーには、債券投資機会をつかむ戦略策定を可能にするリソース、経験、カルチャーがあります。こうした戦略に、パッシブ運用型投資は対抗し得ないでしょう。
 

上場投資信託(ETF)のようなパッシブ運用戦略を好む投資家は、低コストであるETFの方がアクティブ運用戦略を上回るパフォーマンスを達成するとの考えに、もっぱら焦点を当てていると見られます。実際、こうした見方は、ここ数年の株式ETFの大幅な伸びに拍車をかけています。しかしながら、債券ポートフォリオに関して言えば、パッシブ戦略がアクティブ運用型債券マネージャーの戦略よりもアンダーパフォームするケースが多くあります。

最近のモーニングスターの記事は、債券ファンド791件の期間5年のリターンと資産クラスが同じETFのリターンとを比較しています。1  モーニングスターは「債券ファンドの3分の2近くが債券上場投資信託を最適配分した対応ポートフォリオを上回る成果を上げている」と結論づけています。この調査では、アクティブ型債券ファンドの平均値は債券ETFを累計で2.92%アウトパフォームしています。このことは、一貫して上位4分の1を占めるマネージャーがたたき出す超過リターンの複利効果は、これをさらに上回ることを示唆しています。

しかしアクティブ運用マネージャーは、実際のところ、債券戦略にどのようにしてプラスアルファを付加しているのでしょうか?成功を収めているアクティブ運用マネージャーが用いる債券市場についての分析と戦略は、アウトパフォーマンスに寄与する5つの重要な利点を示唆しています。

1.   好機をとらえる

米国債券市場には、アクティブ運用マネージャーがつかみ得る好機を生み出す、独特の性質があります。株式市場ではトータルリターンを狙う投資家がほとんどですが、債券市場の多くの投資家たちは異なる目的を持っていることが多く、それらを追求するアクティブ運用マネージャーへの好機をもたらしています。

例えば、各国の中央銀行は金融政策の遂行において債券の売買を行っています。彼らの目的は資金の提供あるいは吸収を行うこと、あるいは量的緩和策においては金利水準に影響を与えることにあり、収益性という観点は皆無です。つまり、中央銀行の政策によって、観察力の鋭いアクティブ運用マネージャーがつかみ得る市場の歪みが生み出されているのです。また、保険会社や年金基金が行う債券投資は将来の債務に見合うポートフォリオを作り出すニーズから生まれることが多く、証券のバリュエーションはさほど重視されない可能性があります。機関投資家の投資スタイルによって、アクティブ運用マネージャーがうまく利用できる状況型投資機会が生まれる可能性が高いのです。例えば、銀行や保険会社は投資に関するリスク調整後要件を満たす必要に迫られることから、主要な債券カテゴリーの中でも品質や償還期間の特性範囲がとりわけ狭いカテゴリーの価格が押し上げられ、その一方で他の信用力や償還期間プロファイルを有する証券の価格が押し下げられるという状況がしばしば生じます。加えてETFは、インデックスに一致させるために特定の証券投資に重点を置いており、信用力や償還期間が同等の他の債券にはほとんど目を向けません。

米国市場で入手可能な様々な債券は、数兆ドル規模に達します。多様な投資家層からの幅広い目的と相まって、経験豊富なアクティブ運用マネージャーたちに、パッシブ手法を用いるマネージャーを上回る価値を付加しリスクをコントロールするための豊富な投資機会を提供しています。

2.   リスク管理の意識

パッシブ運用型のETFは、様々な債券インデックスのベンチマーク(ハイイールド債、変動利付債といった各セクターを代表する)に追随するよう設計されています。これは、ボラティリティにおける好ましくない変化や、特定のセクターや銘柄への集中をもたらしかねません。パッシブ型ポートフォリオにおけるエクスポージャー増加は、債券発行体が財務レバレッジを高めた場合にETFが保有額の調整を強いられることが理由であり、当該発行体の価値が上がったわけではありません。その結果として生まれるのは、例えば石油価格の急騰時のような極端に楽観的あるいはバブル的な状況を反映したポートフォリオである可能性があります。慎重な投資家であれば、同じタイミングに正反対のアプローチを取っているかもしれません。

多くのパッシブ運用型アプローチとは異なり、アクティブ運用マネージャーは市場構造の変化を反映する必要がありません。むしろ、問題債券への過剰なエクスポージャーを回避し、ポートフォリオの目的に合致する証券を意図的に選択することで、リスクをコントロールすることができるのです。

3.   思慮に富んだ債券選択

好ましくないセクターへの過剰なエクスポージャーをコントロールできることに加えて、アクティブな信用力分析は、経営陣の資質や財務状況に問題がある企業の回避を通じて、個別の証券選択を特徴づけることを可能にします。信用力分析はまた、外部要因によって生み出される投資機会の攻略を可能にします。外部要因には、政府の財務優先度、税制政策、支出プログラムにおける変更などがあり、その影響は企業によって異なります。規制や貿易政策の転換を含むこうした変化に対応して、アクティブ運用型ポートフォリオでは適切な変更が加えられる可能性があります。しかし、ほとんどのパッシブ型ポートフォリオ構造では考慮されないでしょう。信用力分析は、とりわけ信用力の低い債券について、アクティブ型ポートフォリオの運用パフォーマンスにおける差別化を可能にします。

4.   好機をねらったセクター交代

個々の信用力を評価する際にアクティブ型運用マネージャーが利用する分析手法は、セクターの分析手法に拡大適用することができます。重視するセクターの交代によって、ポートフォリオにおける比重を変え、過去の平均値から逸脱している銘柄を捕獲することが可能になります。アクティブ運用マネージャーは、突発的な市場事由に対する投資家による短期的な過剰反応あるいは過剰供給といった一時的な異常価格を、うまく利用することができます。同様に、石油価格の変動、金利上昇による影響、米連邦準備理事会(FRB)による米国債や不動産担保証券の保有ポートフォリオにおける変動予測といった事由に起因する中期的な投資機会ももたらします。債券市場では、様々な投資家層が政治、経済、供給要因に反応し、これに応じて様々なセクターで価格の変動が起きます。アクティブ運用マネージャーは、自らの分析の結果、過大評価と判断したセクターから出て過少評価と判断したセクターへ移ることが可能となります。

5.   顧客の関心との合致

アクティブ運用型ポートフォリオはまた、パッシブ型よりも顧客の目的やリスク許容度に合ったポートフォリオの提供が可能です。信用力とデュレーションの観点において、アクティブ運用マネージャーはパッシブ手法が見過ごしている様々な投資機会をとらえようとします。アクティブ運用マネージャーは、リスクを評価しコントロールするための措置を講じる手腕を有しています。リスクの一例としては、規模の大きい債券発行の結果としてパッシブ型ポートフォリオにおいて発生する可能性のある銘柄集中という好ましくない事態があります。

アクティブ運用マネージャーが持つもう一つの潜在的な優位性は、ポートフォリオ債券における期限前償還プロテクションをコントロールできる点にあります。これはインカムの維持に役立つアクティブ戦略です。パッシブ戦略では、高いクーポンを有する債券のプレミアムを見落とし、なすすべなく期限前償還され、低クーポン債券に置き換えられた結果、投資家のインカムは減ってしまうでしょう。加えて、投資家が期待する通り、アクティブ運用されている債券ポートフォリオは基準価額(NAV)で取引されます。残念ながらETFはNAVで取引する義務がなく、とりわけ売り手が市場を支配している場合には、NAV 以下で取引される可能性もあります。

最後にアクティブ運用は、特に劇的な市場の変動に対して感情的に行動しがちである投資家にとっては、自らの最悪の直観に反することでその投資家を守ってくれる可能性があります。アクティブ運用は、投資家による衝動的な売り買いの判断、あるいは、群集心理に追随したり、逆に投資機会が存在する際に慎重になりすぎたりすることを、回避してくれるかもしれません。 構造的な観点から言えば、アクティブ運用型ポートフォリオは、低手数料を主なセールスポイントとしているパッシブ型ポートフォリオに比べて、投資家の関心にはるかに密接に合致していると言えるでしょう。

アクティブ運用型の利点

興味深いことに、債券市場には、アクティブ運用マネージャーがパッシブ戦略をアウトパフォームできる固有の投資機会が備わっているようです。こうした投資機会は、市場参加者の多様な投資目的と優先度の結果として存在しており、投資目的がトータルリターンではないケースも多いのです。先に述べたように、アクティブ運用マネージャーには、債券投資機会をつかむ数多くの戦略策定を可能にするリソース、経験、カルチャーがあります。パッシブ型手法では、こうした投資機会すら存在し得ないケースが多いでしょう。我々は、どちらの手法が自らの関心に最も適合するポートフォリオ運用であるかを投資家が考えてみるときに、このことを心に留めておくべきだと考えます。 

 

1「Active Bond Funds Holding Their Own」 Morningstar.com、2017年3月21日
 

リスクについての注記:債券の投資価値は金利変動によってまた市場動向に応じて変化します。一般に、金利上昇時には債券価格は下落し、逆に金利低下時には債券価格は上昇します。ジャンク債と時に称される高利回り債ではより高い価格変動リスク、流動性の低さ、適時の元利払い不履行リスクを伴います。債券はまた期限前償還リスク、信用リスク、流動性リスク、金利リスク、そして全般的な市場リスクといった他のリスクも伴う可能性があります。通常では、より期間の長い債券は金利変動に対してより敏感に反応します。つまり償還日までの期間が長いほど、金利変動が債券価格にもたらす影響度は高くなります。低格付け債は高格付け債に比べて高いリスクにさらされる可能性があります。いかなる投資戦略もすべての市場変動を克服することはできず、また将来の投資成果を保証することはできません。さらにはローン保証に利用される特定の担保価値が下落する可能性や流動性が低くなる恐れがあり、ローン価値にマイナスの影響を及ぼす恐れがあります。株式証券の投資価値は全般的な経済情勢や特定の企業・セクター見通しの変化に応じて変動します。低格付け債券は高格付け社債より高いリスクを伴います。海外投資は一般に国内投資より高いリスクを伴い、それらには価格変動や高い取引コストが含まれます。海外投資には本来、通貨変動や海外事由、政治・経済事由に関連するリスクを含む特有のリスクが存在します。全ての市場変動を乗り越え、将来の成果を保証する投資戦略は存在しません。

見通しや予想は現在の市場情勢を基にしたものであり予告なく変更されることがあります。予想を保証ととらえるべきではありません。

本リサーチには、将来の事由についての特定の前提を基にした「将来の見通しに関する記述」という特定の前提が含まれています。実際の事由を予測することは難しく、前提とした内容と異なる可能性があります。将来の見通しに関する記述が実現するか、または実際のリターンや結果が本リサーチで記述した内容と大きく異ならないかについて、保証することはできません。

市場が将来同様の状況下で同じようなパフォーマンスを示す保証は一切ありません。

上場投資信託(ETF)は、インデックス、コモディティー(商品)あるいはインデックスファンドのような資産バスケットに連動する債券ですが、株式のように証券取引所で取引されます。ETFは一日を通じて売買され、価格変動が発生します。

当資料の見解は発表日時点のものであり、その後の進展に応じて変化する可能性があり、全般的な企業の見方を反映していない可能性があります。同資料は見通し、調査、投資助言として信頼されることを意図しておらず、いかなる証券の購入、売却または投資戦略の採用を推奨または提供するものではなく、また投資パフォーマンスを予測、示唆することを意図するものではありません。マーケットビューの読者はここで示された企業、証券、セクター、市場への投資が利益を生んだ、あるいは将来生むと仮定するべきではありません。投資には元本損失を含むリスクが伴います。本資料はロードアベットが信頼に足ると考える情報を基にしていますが、ロードアベットはその正確性や完全性を保証するものではありません。投資家は投資決定を行う前にフィナンシャルアドバイザーに助言を求めるべきです。

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